比較してみた 戦闘妖精雪風 Noritake
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はじめに
「戦闘妖精雪風」のDVDが出た。原作小説と違うのだが、如何せん読んだのはかなり前。「グッドラック 戦闘妖精雪風」に細かい部分をあわせるために出た、「戦闘妖精雪風<改>」を読んでみて、違いをメモりたい。ただそれだけのページ。

<超ネタバレあり注意>

『戦闘妖精雪風<改>』

『FAF・特殊戦隊』
■冒頭のリン・ジャクスンの著書よりの引用部分。
アニメ版はあっさりしている。本編がセリフをあまりださないなら、もうちょっと詳しく説明してもよかったとおもう。特にFAFとその中の特殊戦の位置付け、特殊戦に配属された人間はどんな人物ばかりなのか等。もしかすると、そのへんの部分は、アニメでは2巻以降に織り込むのかもしれないが、1巻冒頭に説明しておいて欲しい事もある。

『妖精の舞う空』
■アニメ版では対ジャム戦の空中戦をやっているだけだったが、小説版はFAFがジャムの基地を叩く作戦で、迎撃に出てきたジャムと交戦ちゅう感じ。零はただ状況報告するのみ。セリフ、アニメ版「死神め」小説版「あいつは死神だ」。666thの状況、アニメ版1/3が撃墜、小説版24機中4機撃墜。

■グレイシルフ(ジャム)との遭遇。アニメ版では不明機の表示は雪風により敵と表示される。小説版では不明機の表示を零が戦術コンピューターに敵と入力。これって雪風の判断では無く零の判断やん(爆)アニメ版では、グレイシルフ(ジャム)との戦いの内容がわからなさすぎ。情報はあるのだろうが、わかりにくすぎ。小説版読みかえして初めて、短距離ミサイルの至近距離発射警告がわかった。小説版ではグレイシルフ(ジャム)に対して短距離ミサイル2発発射のみだが、アニメ版は最初に中距離?2発短距離2発の系4発を発射している。
アニメ版はフライトオフィサは脱出しないが、小説版はフライトオフィサのみが脱出、原住恐竜に食われて死亡。フライトオフィサが脱出してキャノピがなくなって直接風が入ってくる描写があることから、1キャノピの複座。アニメ版は2キャノピの複座。小説版では零が機体を立て直すところが面白い。

■零が見る雪風の夢。小説版は具体的すぎなので、アニメ版の暗示的なのがよい。アニメ版はノーズ(機種)にデッカク『雪風』と書かれているが、小説版では、コクピット下に小さく『雪風』と書かれている。どちらもブッカー少佐による達筆な毛筆である。

■雪風の修理について。アニメ版だと普通になおって格納庫に戻ってきたが、小説版だと、外観は同じだが内部にかなり手が入って戻ってきている。

■ブッカーの頬の傷。アニメ版にはない。小説版では、隊員から大量殺人者ではないかと噂をたてられている。しかしその傷は隊員の噂を裏切る由来であった。ブーメラン作りが趣味のブッカーはあらゆる技術を駆使した、自己学習する姿勢制御可能な完璧なブーメランを作った。そのブーメランを飛ばした時、正確に自分の所に戻ってきた。そういうことだ。それ以来ブッカーはナイフで木を削ってブーメランを作っている。

■ブッカーと零の出会い。アニメ版は食堂で豆とピーチを凄い形相で食べている零をブッカーが目撃。小説版はブッカーが「お前は神を信じているか」と質問、零は沈黙。ブッカーいきなり零を殴る。零はそのまま装備点検表を読む仕事に戻る。ブッカー「なるほどな。おれと同じだ。」といった。(←意味分からん、なんだこの2人)

■アニメ版ではブッカーと零がスーパーで買い物をして2人パーティをするシーンがあるが、小説版にはまったくない。小説版には想像を絶するエピソードがあった。日本軍の大将がFAFを視察に来る。どの部隊が相手をするかくじ引きで決めた。クーリィー准将は貧乏くじを引いた。ブッカー少佐に指令がくだった。特殊戦におえらいさんの相手をしろと。自己中の集団特殊戦の連中がそんな事をするはずがない。ブッカーは零に相談した。零は驚くべきアイデアを披露する。人間そっくりのロボットをたくさん作って、儀礼兵団の代わりにしようというのだ。ブッカーはしわしわ婆さん(クーリィー准将)が許可しないと思うが、いいかもとも思いはじめた(ぉいぉい)で零に計画書は俺が書くからクーリィー准将にプレゼンしろと命令。零はしぶしぶ引き受ける。着々と開発は進み完成する。その顔は元零のフライトオフィサの恐竜に食われた男の顔だった。零は悪趣味だといったが、何故かクーリィー准将はいいと思っている(爆)当日はまんまと、御老体を騙しおおせるが、かなり笑い話風。ぇ、おふざけ小説だったの?(爆)最初読んだ時はあまり意識してなかったぜ。

■零の味方機撃墜疑惑の軍法会議。内容はアニメ版も小説版も同じようなものだが、小説版の零が不明機を敵と自分で書き換えたくせに雪風の警告を信じるといっていた。雪風はIFF(敵味方識別装置)が不明と返しただけ。アニメ版では敵はジャムとなっているが、小説版ではブッカーが不明機とはジャムとは限らない。地球から<通路>を通ってきた国籍不明機かもしれないという可能性をいっている。フェアリイ星でも領土争いの可能性。

■小説版では零がフェアリイ星に来て初めて抱いた女が准将そっくりで、上官の大尉。敬礼して張り倒される(爆)ホモちゃうやん(爆)ブッカーもバツイチで慰謝料払ってるし。

■アニメ版では寡黙な零だが、小説版ではよく喋る(爆)寡黙でクールではないのだ。

『騎士の価値を問うな』
■ この話はアニメ版にはまったくない。実際たぶんいらない。無人機のテストについての話だが特筆すべき内容ではない。あるとすれば最後の数行。零がジャム対戦闘機で自分(人間)が必要無いかも知れないと思う箇所。

『不可知戦域』
■アニメ版にはない話。アメリカ偏向ジャーナリスト登場の雪風捕獲されかけの回。そんなもんかなぁ。雪風の捕まった場所のイメージって食中植物みたいだった。

『インディアン・サマー』
■アニメ版にはない話。空中母艦バンシーIVがジャムに乗っ取られる。調査に向かう零とトマホーク・ジョン。ジョンの心臓は原子力で動く人工心臓。ジャムの金属片の集合体みたいなのが、ジョンの心臓を狙う。ジョンは自分が人間か?と零にきき、零の答えに安心して息を引き取る。零、ジョンのために泣く。ジャックに言い訳あり。回想で、零は元恋人をよく思っていない。

『フェアリイ・冬』
■アニメ版にはない話。雪掻き要員がマース勲章という最高の勲章を授章するところからはじまる。その謎をブッカー少佐が頼まれ調査していくうちに、思い掛けない結論に到達する。

『全系統異常なし』
■アニメ版に前半部分登場。ファーン(旧式戦闘機)の部隊がジャムの新型高速ミサイルにやられる。アニメでなんで命中してないのに全滅?と思っていた謎が解決。高速ミサイルはあまりに高速なため、弾体が命中しなくても、その衝撃波でまわりの物体を破壊できる。アニメでは「間に合わない」小説は「間に合いそうにない」だった。で、その高速ミサイルで部隊は全滅したあと、雪風が狙われる。アニメ版では良く分からなかった部分が小説ではよくわかった。零は偵察ユニットを切り離し機体を軽くした。Vmaxスイッチオンで、雪風は乗員の安全範囲より上のパワーを出せるようになった。要するにリミッター解除。オートマニューバ・システムオン、雪風はセンサー情報からミサイルをかわす方法を自分で計算し実行する。つまり雪風が完全自立制御状態になる。ぉぉ!アニメ版では雪風が自分の意志でコントロールしたかに見えたが、小説は零がリミッター解除してオートパイロットオンにしただけである。1発目の高速ミサイルを左にスライドしてかわす、2発目はなんと雪風が進行方向を変えずに180度反転した。つまりエンジンアイドルで後ろ向きに飛んだ状態である。で射撃してミサイル撃墜。その間零は気を失っていた。帰投する。零はろっ骨を骨折。バーガディッシュ少尉は脾臓破裂で手術、命に別状は無い。零が脾臓破裂にならなかったのは、過去に(破裂して?)摘出してなかったため。零は全治2週間でしばらく飛べない。
ここからが小説版のみの内容。上記の事件でファーンの改良版ファーンIIを開発していた。テストフライトが行われる事になった。テストパイロットはヒュー・オドンネル大尉。護衛機は特殊戦6番機ミンスクと3番機雪風。雪風は零が負傷のため無人飛行。やはりジャムの襲撃がある。雪風はファーンIIのコントロールを行い回避したものの、ヒュー・オドンネル大尉は死亡。雪風はファーンIIを命令通り守った(中のパイロットは含まれない)。ブッカー少佐は大尉の死に責任を感じていた。雪風を無人で飛ばしていたのは間違いだったと。零は大尉の命を守るようファーンIIをコントロールしていたらファーンIIはやられていた。どっちにしろ大尉の命は救えなかった。といった。雪風の思考は零ゆずりなのかもしれない。

『戦闘妖精』
■アニメ版にはない話。雪風のエンジンを地球上でも能力を発揮できる新型エンジン、フェニックスマークXIに換装。零とブッカーでテスト飛行。この組み合わせで飛行するのは初めてではないだろうか。空間<通路>を抜けて地球側でテストを行う。空間<通路>に突入したときに、ジャムにつけられる。地球側に抜けた後ジャムは地球側にいた迎撃機をことごとく撃破。その後雪風がジャムを撃破するが、この時点で地球の戦闘機はジャムに勝てない事がわかった。燃料補給に空母に着艦、たまたま乗り合わせていたリン・ジャクスンとブッカー少佐が会話。あの本を書いたリン・ジャクスンですら、地球側に危機感が足りないのはわかっているが、人間がおいてきぼりの戦争との実感は薄い。その後給油終了後、雪風帰投。

『スーパーフェニックス』
■アニメ版に登場する話。前半はブッカー少佐の兵器開発話。結局無人機がいいとの結論に達するが、無人機のコンピューターは人間が訓練する必要があるとの結論に達する。新型機FRX-99、これは無人機。ブッカーの要請でこれを有人機に改修、これがFRX-00。今考えると、数字がゼロ(零)だ。この有人機FRX-00が特殊戦13人にそれぞれ配備され、特殊戦のパイロットに教育されていくことになるのだ。でスーパーシルフ13機は無人機隊として新部隊となる。その中には当然雪風も含まれる。卒業みたいなもんだ。で、ブッカーは零のために雪風とのラストフライトを用意する。FAFもジャムも制空権のない砂漠へ偵察ポッドを射出して帰投する任務だ。雪風の任務もほぼ完了しそうな時に砂漠に潜んでいたジャムの襲撃をうける。雪風はせっかく射出した偵察ポッドを壊されたくないのか、全速離脱せず、戦闘を始める。高機動に邪魔な人間を火災と偽って射出する雪風。零とバーガディッシュ少尉はただなすがまま。ジャムとの戦闘に巻き込まれ気を失う零。目が覚めるとどこかの看護室。様子がおかしい。看護婦のマーニーと名乗る女性に看護される零。出された流動食をもどす。バーガディッシュ少尉の事を聞くと重症とのこと。ヤザワ大佐と名乗る士官らしき男があらわれ、零に修理のため雪風の電子装置のプロテクトを解除しろという。零は拒否。零はあるとき偶然2人の会話を聞いてしまう。「流動食でわかったのα-アミノ酸、D型だったのよね中尉。チキンブロスおいしかった?。あれならあなたの口にあうはずよね。」ヤザワ大佐の用意した端末で雪風と連絡をとる、ジャム警報。零、脱出を決意。鏡を見て鏡面の光学異性体をおもいつく零。証拠を得るためマーニーの乳首を噛みちぎる零。血の臭いはしない。確信する零。マーニーを射殺。出口に向かう途中チキンブロスの材料を思い当たる。バーガディッシュ少尉。廊下でヤザワ大佐と鉢合せ、格闘後射殺。零は急いで雪風に向かう。雪風の横に2人の人影。1人はバーガディッシュ少尉。もうひとりは深井零中尉。零2人とも射殺。バーガディッシュ少尉の撃った弾で零負傷。零、雪風に乗り込み発進準備。黄色い沼からまだ人間になってない人間の群れが襲い掛かる。その上に蜂のような黒い影の集団。ジャム?零、ミサイル発射、命中。同時にフェアリイ星に戻っているが、3機のジャム機に襲われ被弾、不時着。自爆装置は作動しないが、火災のため間もなく爆発するだろう。零、雪風とともに散る事にある種の喜びを覚える。そこへブッカーを乗せたFRX-00が来る。雪風、FRX-00へ中枢ファイルを転送、零を射出。FRX-00はパイロットの操縦がきかず自立。3機のジャム機を一瞬にして撃破。雪風にも射撃して破壊。パイロットの救難要請をだしてフェアリイ基地に帰投。司令部にFRX-00はYUKIKAZEと名乗る。雪風偵察ポッド射出完了、任務達成率100%。明日の戦いに備え倉庫に戻る。
■アニメ版では、ブッカーは零の捜索に必死だったが、小説はそうでもなかった。アニメ版では、零はマーニー(看護婦)は殺していない。ジャムらしき黒い蜂のようなものもあらわれないし、人間のできそこないもあらわれない。ニセの零とバーガディッシュ少尉もあらわれない。自身を転送した機体は有人機のFRX-00ではなく、無人機のFRX-99だ。

続編
『グッドラック 戦闘妖精・雪風』

『FAF特殊戦から来た手紙』
■リン・ジャクスンの執筆ノートよりという体裁でブッカーの手紙を紹介するとして、前作との関連を示し繋ぎとしている。要するに前作までのあらすじという感じである。FRX-00の後席に座っていたブッカーは顎を負傷したが、前席のパイロットは高Gに耐えられず死亡していたらしい。

『ショック・ウェーヴ』
■零は肉体的には回復したが意識が戻らない。ブッカーは車椅子に零をのせて、指令室などに同席させた。無人の雪風を発進させる時にも、零に見せた。反射的に零は目を開けたりはするようになる。

■雪風が無人でミッションをこなしている時、突然味方機を「敵味方不明機」とし、地上基地を敵と認識、攻撃する。その時零は基地の戦術コンピュータを通して、雪風敵を探す。零の意識が戻りつつある。雪風は零を必要としていた。零の証言によりジャムは、人間型兵器を送り込み、戦闘機の部品の一部に細工をしていたのだ。撃墜され救助された隊員が怪しい。前作で死亡したパイロットに変わり、特殊戦13番機には矢頭少尉が乗っていた。零とブッカーは雪風に乗り、矢頭機の後をつける。ジャム機と接触していた。零一瞬ためらいながらも、ジャム機と13番機を撃墜。

『戦士の休暇』
■零は自分を客観的に見るために、地球に戻る。地球に戻るには休暇届けでは、すぐ許可が出そうに無い。唯一の方法、退役。退役した零は地球に戻る。ブッカーの手配でリン・ジャクスンがガイド役につく。ホテルに着いてすぐ、地球に居場所は無いとフェアリイ星に戻る決心をする。部屋に押し掛ける日本軍の軍人。FAF情報軍に助けられる零。もう再志願が出されているのでFAFで保護できる。ブッカーの仕業だ。やるなブッカー。戦士の短い休暇は終わりだ。

『戦闘復帰』
■零のひとり思いが多い文章。これがグッドラックの特長ではある。女性軍医のエディス・フォス大尉登場。零、張り付かれる(爆)

『戦闘意識』
■特別な昼食会、零も招待されている。開催時間までの間、零は雪風のコクピットにいた。7番機ランヴァボンが出撃する。任務は極秘だが、昼食会の護衛・監視だった。雪風はこの極秘任務をしきりに知りたがり、直接7番機にもコンタクトを求めた。たまたま機上にいた零の命令ということにして、発進許可を得る雪風(爆)昼食会と出撃、どっちやねんとあせる零(爆)結局零は昼食会にでるのだが、雪風は無人でその監視にあたる。このあたりを読んでいて、アニメ版はグッドラックベースですすめているのが分かる。前作とグッドラックとでは、あきらかに違う小説だ。なのでアニメの1巻はかなり違和感がある。この話にやっと零が無人でやれと雪風に命令した応答として、I HAVE CONTROL/I WISH YOU LUCK....Lt.Fukai.と出る。雪風に健闘を祈るといわれ戸惑う零。で、昼食会の内容は例の矢頭少尉のジャム人間事件をエライさんに報告であった。その昼食会といってもバーベキューなのだが、7番機、ランヴァボンが監視・記録、その7番機に照準をあわせる雪風。今回の雪風はスターウォーズのR2-D2みたいだ(爆)ちなみに、前作では発進コードBー3雪風のBはブーメラン戦隊、3は3番機の3。ちなみにグッドラックでは、名実ともにエース機となった雪風は1番機、Bー1雪風だ。

『戦略偵察・第一段階』
■雪風の欠員となっていたフライトオフィサにFAF情報軍より桂城彰少尉が候補にあがる。特殊戦の情報を知りたいロンバート大佐によるスパイかも知れなかったが、クーリィー准将とブッカー少佐は受け入れる事にする。零はエディス少尉とラヴラヴかもと思える程激しく議論する。零とエディスは雪風機上でツールソフトを使い心理分析などをする。対象はジャム、雪風、桂城少尉、零。桂城少尉の分析結果が、以前の零と同じ傾向。現在の零はエディスにいわせると、人格が変わったぐらい稀に見る性格の変化だそうだ。

『戦略偵察・第二段階』
■雪風とジャムが接触。ジャム総体と交渉のような事をするが、やはり分かり敢え無い敵。

『戦意再考』
■前半は雪風とジャムの接触を特殊戦基地の視点からみた描写。後半、ブッカー、零、桂城、エディスでジャムについての考察。FAF内のジャム発見まで。

『グッドラック』
■この章で最後だが話は大きく動く。ジャムの予想。出撃する雪風。

※参考:こんなのもあるが、SFマガジン連載中、漫画「戦闘妖精雪風」。
作者はアニメ版でキャラクターデザイン・脚本担当の漫画家多田由美さん。




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